灯山(ひやま)
提灯を飾った山笠である。電線のなかった昔は枠4段にはしご12段約15mの高さの灯山が夜空に輝いていた。かなり遠方からも見えたという事である。その後電線の敷設に伴い運行の際鉾山自体上部を後ろに折る形式になった。灯山は火を使う為はしごの提灯を下に下ろし、枠の部分を高くする形になったものと思われる。高さは4mほどで提灯の数は約220個。現在は電球を使用する事で昔の高い形を再現した灯山も現れ2つの異なった形になっている。
灯山は2日間運行される。最初は宇原神社の汐かきに神輿が出されるが、その際各町内から灯山が駅前に集合する。神輿の駅前までの道中、夜道を明るくする役割を果たしている。
2日目は各町内でそれぞれ独自に運行される。数基が集まって催しをする地区もあり、前日の明るい駅前とはまた違った姿が見られる。
灯山は大正初期までは北郷と南郷で交互に集まり催しをしていた。南郷は旧暦8月5・7・9・12日に、北郷は6・8・10・13日に、それぞれ鉦・太鼓を鳴らして町中を引いて回った。そして夜市といって南郷は12日、北郷は13日に各区灯山が一ヵ所に集合して賑わった。
灯山の提灯は各区の氏子の家より持ち寄って飾る意味からその家の大事なもの、つまり家の魂であろう。夜の町を行く灯山はそう思わせるような厳かで幻想的な雰囲気を醸しだしている。